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13歳のハローワーク

13歳のハローワーク
村上龍著。幻冬舎、2003年。ISBN: 4-344-00429-9。
最近ヒットしているこの本。子供向けにさまざまな職業を紹介している。この本が読者として想定する13歳の子供たちにとって、これらの職業のほとんどは可能性として開かれている。13歳から興味をもって準備していけば、学芸員にもツアーコンダクターにも、海女にも新聞記者にも、マタギにだってなれるだろう。言ってみれば、この本は、子供たちに与えられたリアルオプションを描いたものだ。なんと広い可能性が開かれていることか!

しかし当然ながら、子供たちの将来の価値は無限大ではない。リアルオプションの価値には加法性はないのだ。いいかえれば、これらの職業のすべてに就くことはできない。とりうる道はしだいに狭められ、やがてそのうちの1つが選ばれる。その過程で子供たちが受ける教育が、たくさんあった道の中から選択させていく原動力である。いわば、コミットメントにより競争力を身につける過程といってよい。コミットメントは他の道へ逃れる柔軟性を排除していく。その代わり、選んだ道で競争に打ち勝つための能力が備わっていくのだ。

この本に欠けているものがあるとすれば、それはある職業から他の職業へ移るための「道筋」という視点だろう。「キャリアパス」といってもよい。いったん選んだ職業でも、その後変わることはあるかもしれない。しかしそれにもある程度の範囲がある。教師から古本屋になるのは難しくもないだろうが、お笑いタレントから南極観測隊員になることはそう容易ではあるまい。職業選択においてある方向性をとった場合、その後の選択の幅にも影響が及ぶだろう。前の選択と後の選択には相互依存関係がある。

理屈はともあれ、子供たちにとっては、いろいろな職業があることを知るだけでも有益だ。自らの前に開かれた可能性の価値をぜひ見出してもらいたい。それが成長オプションとしての教育の価値を高めることにもなるだろう。

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