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サーチファンド

CNET Japan掲載のblog「英語で読むITトレンド」のゲスト執筆者である村山尚武氏が、起業希望者が事業アイデアを探すための資金を調達する「サーチファンド」というシステムを紹介している。詳しくは当該blog、およびそこで引用されているStanfordのビジネススクールのページをご覧いただくとして、要は、

起業希望者に対して、まず有望な事業アイデアを探すための資金として、半年~1年間程度の生活費と経費相当額を用立てる、というものらしい。起業希望者は、その期間に有望な事業が見つかれば、今度はその事業を実施するための資金の出資を仰ぐことになるという。

いってみればこれは、製薬会社の新薬開発プロジェクトなどにおける研究段階と開発段階の区別に似ている。まず有望な薬効成分を見出し、それを製品としての医薬品に仕立てていく、というプロセスだ。当然この間には相当の不確実性があるから、うまくいかなければそこまで、となる。リアルオプションでいえば、成長オプションにあたる。投資家にとってみれば、当初のサーチファンドの出資は、その起業希望者が見つけてくる将来有望な事業への投資機会(リアルオプション)への投資となる。

しかし、一般的な起業者と出資者の場合、このサーチファンドでまかなわれる段階は、起業者が出資者に出資を要請する前に自前で行っておくものであろう。「有望なアイデアなら投資してやってもいいが、まだアイデアもないのに金を出せとは!」という反応も考えられなくもない。サーチファンドに投資する投資家は、サーチ段階の資金を負担することによって、それがなければ見出されなかったかもしれない事業機会がもたらされることを期待しているのであろう。またそれは、必ずしも当該分野の目利きではない投資家にとって、有望な投資機会を発見する業務を起業希望者に「委託」している、とみることもできる。

いずれにせよ、カギを握るのは起業希望者の「事業機会を見い出す眼力」である。すなわちそれは、投資家の「優れた経営者を見出す眼力」に他ならない。記事では、アメリカでは「Search Fundを用いた起業は成功率も高く、高い投資利益率を実現するとされている」、と書かれているが、それは当然の帰結ではないだろう。

起業者を増やそうと躍起になっている日本としては、学んでもいいしくみかもしれない。ただ、そのためには、やはり他人の資金でなく、自分の資金を自分のリスク負担で投じる投資家層の形成が欠かせないのではないか。なけなしの預金を預けた銀行がサーチファンドにいれあげている図は、見たくない。

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