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ベンチャー投資の新手法

CNET Japanのblog「梅田望夫・英語で読むITトレンド」に、「プライベートエクイティファンドから見たベンチャー投資の新発想」という記事が出ていた。ベンチャーキャピタル投資において一般的な、段階的投資に対するアンチテーゼとして、あるプライベートエクイティファンドが、必要な金額を一気に投資してしまう、という考え方を提唱しているらしい。

もともと、ベンチャーキャピタルの段階的投資は、初期の高いリスクを軽減するため、事業の発展段階を見ながら必要資金を拠出していくという、VC側の逐次進行オプションとして機能していた。しかしプライベートエクイティファンドからみれば、このスキームはベンチャー企業が必要なタイミングで必要な金額を調達できるかどうかわからないリスクを持つということになる。これを解消するためには、あらかじめ必要な金額をすべて用意してベンチャーを立ち上げるのがよい。

梅田氏も書いているが、このスキームは、いわゆる段階的投資の対極にあり、したがって、メリットとデメリットを入れ替えたものとなる。リアルオプション的にいえば、そもそも一括投資という考え方では初期の不確実性に対処できないため、段階的投資という考え方が必要となったわけで、今度は逆に各段階で資金が得られるかどうかのリスクがあるから一括投資が必要だ、ということだ。

段階的投資を実行する際に必要なのは、各段階が予定通り進んだ場合に予定通り資金を確保することであり、そのプロセスを管理する能力である。逆に一括投資を実行するためには、当初から必要資金の総額を用意することと、初期の段階で事業の先行きを見通す先見性が必要となる。どちらが望ましいかは、当然、事業の性質や人材、その他もろもろの条件によって異なってくる。(この点に関して、「経営・会計通信」で、ベンチャーキャピタルとバイアウト・ファンドの「文化」のちがいを指摘した記事があった。なかなか面白い考察である。)

ベンチャーの実務経験がないのでわからないが、素朴な疑問として、そもそも、このような二元論しかないのだろうか。後段階の資金確保にリスクがあるとすれば、エスクローのようなしくみで資金をあらかじめ確保しておき、当初に設定した条件に応じて追加投資の有無を決めるようなスキームができないのだろうか。たとえば、まったくちがう例だが、㈱ジャパンデジタルコンテンツが開発した「新人グラビア☆アイドルファンド」では、このような段階的投資の条件があらかじめ決められている。複数の投資家がベンチャー企業に出資する場合にも、このようなスキームは可能ではないだろうか。

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Tracked on 2004.04.15 02:08 PM

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