Money as real options in a cash-in-advance economy

Stacie Beck and David R. Stockman (2005). "Money as real options in a cash-in-advance economy." Economics Letters Volume 87, Issue 3 (June 2005): 337-345.

Abstract
貨幣の(つまり流動性の、ということだろう)リアルオプション価値を分析したもの。このテーマについては、前にもワーキングペーパーで見た気がする。確かBeckという名だったように思うが、同一人物だろうか。きちんとした学術誌に出るほどのものになったということか。確かそのワーキングペーパーを見たのは90年代半ば。もし同一人物なら、ほぼ10年がかりということか。

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Factor price uncertainty, technology choice and investment delay

Joseph P. Kaboski (2005). "Factor price uncertainty, technology choice and investment delay." Journal of Economic Dynamics and Control 29, 3 (March): 509-527.

Abstract
This paper develops a theory of putty-clay investment under factor price uncertainty using a Brownian motion framework. Ex ante the firm faces a choice of technologies that differ by their relative factor intensities, but ex post technologies are Leontief. The presence of competing technologies and factor price uncertainty can cause delay of profitable investments for a monopolist firm facing a one-time investment decision. Furthermore, uncertainty can cause an existing firm to wait for more extreme operating cost differentials before switching technologies. These delays in investment are present even without considering the effect of uncertainty on the firm's choice of scale.

Author Keywords: Technology choice; Firm investment; Brownian motion

JEL Classification: L1, D8

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Investment under Uncertainty and Incomplete Markets

Hugonnier, Julien N. and Erwan Morellec (2004). "Investment under Uncertainty and Incomplete Markets." Simon Business School Working Paper No. FR 04-10.



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Tax Neutrality Under Irreversibility and Risk Aversion

Niemann, Rainer and Caren Sureth (2004). "Tax Neutrality Under Irreversibility and Risk Aversion." Economic Letters 84, 1: 43-47.

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Incentives for Leasing: Evidence from the Largest U.S. Lessees and Lessors

Eades, Kenneth M., and Felicia C. Marston (2004). "Incentives for Leasing: Evidence from the Largest U.S. Lessees and Lessors," Working Paper Series No. 04-03, Darden Graduate School of Business Administration, University of Virginia. Downloads available at SSRN.

リースに関する意思決定問題をリアルオプション・アプローチで分析した論文である。

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Modeling the Korean Chonsei Lease Contract

Ambrose, Brent W., and Sunwoong Kim (2003). "Modeling the Korean Consei Lease Contract." Real Estate Economics 31, 1: 53-74.

韓国独特の不動産賃貸契約方式である「チョンセ」をオプションモデルで分析した研究である。チョンセでは、賃借人が不動産を借りる際に物件価格の約4割~8割にあたる金額を預託金として支払い、代わりに毎月の賃料はない。賃貸人は受領した預託金を運用して収入とし、契約終了時に預託金を変換するというしくみである。

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Project evaluation in the presence of multiple embedded real options: evidence from the Taiwan High-Speed Rail Project

Bowe, Michael, and Ding Lun Lee. Journal of Asian Economics 15, 1: 71-98.
台湾の新幹線プロジェクトの実際のデータを用いたリアルオプション分析である。プロジェクトに関する複数のリアルオプションを評価し、加算不能性についても検証している。

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株式投資のための定量分析入門

吉野貴晶著、日本経済新聞社、2003年。ISBN: 4-532-13266-5

最初に断っておくが、本書にはリアルオプションということばも概念も登場しない。著者は大和総研投資戦略部のチーフクオンツアナリストである。2003年日経金融新聞アナリストランキング・クオンツ部門第1位、だそうだ。

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教育を経済学で考える

著者:小塩隆士
出所:日本評論社、2003年。ISBN: 4-535-55333-5


教育を経済学的に分析した本である。一般向けの本で、世間的には「教育というテーマを経済学で分析する」こと自体が新奇に思われる(一部新聞の書評などにみられた)が、本書でもふれている通り、教育に関する経済学的分析は、ベッカーの人的資本の理論など、長い歴史がある。

本書で面白い点は、これまでの教育経済学が一般的に教育を「投資」の一種と考えてきたのに対し、「消費」という側面もあることを指摘したことであろう。教育の中に①「子による投資」、②「子による消費」、③「親による投資」、④「親による消費」の4つの側面があることを描写しているところなどは、実感をよくとらえている。

リアルオプションとの関係でいうと、「投資」としての教育の中に、将来の不確実性に備えるオプションとしての役割があることを指摘している。すなわち、教育を受けること自体がたとえ得にはならなくても損となることはない、という意味で非対称の期待ペイオフ構造があり、これがオプションとして評価できることを明示的に述べている。以前本blogで紹介したPalacios (2003)の人的資本オプションと共通する考え方である。

教育がオプションであるとすれば、その価値は不確実性が高まると増加するはずである。すなわち、教育を受けることの価値は、不確実性の高まっている今日の日本のような状況の下では、そうでないときに比べて高くなっている。近年、大都市を中心に、私立の中高一貫校の人気が高まり、受験倍率も上がっているというが、これがリアルオプション理論で説明できる、ということになろうか。

ここまではいいとして、「消費」としての教育にオプション価値はあるのかどうか、気になるところだ。仮に投資を「将来の消費のために今消費をあきらめること」、消費を「それ自体を目的とするもの」と考えるとすると、消費であればそれ自体が目的なのであるから、その結果がどうなろうが満足度は変わらず、不確実性によって価値が増減したりしないのではないか、とも思える。

あるいは、パチンコのように、「消費の仕方(玉の打ち方)によってはもっと消費できる(出玉が増えてより長い時間パチンコができる)機会が生まれる」という意味でのオプション価値がある、ということであろうか。とすれば、投資にはすべからく消費としての側面がある、ということにならないか。ファイナンスの理論の入門編で必ず出てくる「現在の消費と将来の消費の交換比率が金利」という考え方は、現在の消費を「がまん」することへの対価として金利をみるものだが、投資を苦痛としてしか見ないそのような考え方は、改めるべきなのかもしれない。

なお、経済学的にもっと突っ込んだ分析は、小塩隆士著「教育の経済分析」(日本評論社、2002年)にみられる。

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Options for Financing Lifelong Learning

著者:Miguel Palacios
出所:World Bank Policy Research Woking Paper 2994

2003年3月の論文であり、これも新着とはいいがたいが、あえてご紹介する。
著者は元世銀エコノミストで、現在はUCバークレーHaas SchoolのPh.D学生である。
経済の発展、および所得分配の公平の観点から、生涯教育は政府の重要な政策目標となりうるが、そのコストを誰がどうやって負担するかが問題となる。本論文では、生涯教育の性格上そのコストの大半は教育を受ける本人が負担することを前提として、本人の将来の返済リスクを軽減するため、および資金拠出者のインセンティブを高めるため、収入依存型ローン(income contingent loans)および人的資本オプション契約(human capital options)の組み合わせを提唱している。

収入依存型ローンはローンの一種だが、収入の一定割合を返済し続けることで、将来借り手の収入が減少した場合の返済リスクを軽減するものである。人的資本オプションは、ローンではなく一種の投資で、投資家が資金を拠出するのに対し、学生側は将来の一定期間、収入の一部を投資家に支払うという契約である。

これらはいわゆる人的資源を原資産とするオプションであり、リアルオプションの一種といえる。これに類するものとしては、歌手のデビッド・ボウイの収入を証券化した「Bowie Bonds」や、先日このblogで紹介した「新人グラビア☆アイドルファンド」が挙げられるが、これらはいわば「固有名詞」で語られる特殊な人々である。これに対し、本論文で取り上げられているのは、一般の人々の教育資金を調達するためのスキームである。実はアメリカには、この考え方を実践する企業がある。「My Rich Uncle」がそれで、この会社はこのビジネスモデルのパテントを持っているようだ。

生涯教育は、世界銀行が重視するテーマの1つであり、2003年5月には、本論文の著者を含むチームが生涯教育に関する報告書を出版している。

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