トヨタ、リバースモーゲージを展開
トヨタ自動車は、同社のプレハブ住宅「トヨタホーム」購入者を対象に、リバースモーゲージサービスを行うと発表した(記事はこちら)。
1月22日、青山学院大学にて、公開研究セミナー・シリーズ「金融技術と経営」として、「リアルオプション+スコアカード:IT投資評価の検討」が開催された。講師は同志社女子大学教授の加藤敦氏である。発表の内容は、同教授が(財)企業活力研究所の委託研究「ブロードバンド・コンテンツのプラットフォームと制作プロセスに関する研究」のために執筆された原稿に基づいている。
IT投資は、不確実性の高さ、多段階の複合構造など、リアルオプション評価がなじみやすいといわれるが、一方で市場が存在しないことから、リアルオプションとして評価する際に必要となるパラメータの推定等には困難が伴う。その理由の1つは、企業がどのようなリアルオプションを持ち、経営資源の何をどうすればその価値を高めることができるかについて、定性的な分析・評価が欠かせないからである。定性的な評価を定量的な評価につなげていくためには、経営戦略をブレークダウンし、それぞれの要素における個別項目の管理として把握することが必要である。本研究は、定量的な評価手法であるリアルオプション・アプローチに定性的な評価を反映させるスキームとして、バランスト・スコアカード(BSC)の手法を用い、両者を融合した評価スキームを提示しようとするものである。
リアルオプションを経営戦略策定に用いるとき、それが企業の価値最大化努力を暗黙の前提としていることを忘れがちである。評価式を解くと、あたかも当然得られるべき結果であるかのように解が得られ、それを実現するために何をすればよいかということが消え去ってしまう。しかし、企業経営は絶えざる努力によって支えられるものであり、計算の結果得られた企業なりプロジェクトなりの価値は、最も適切なタイミングで最も適切な投資を行った場合のものである。それを実際に実現するためには、その戦略が企業の各部門の行動目標に転換され、実行の状況をモニターしていかなければならない。その意味で、BSCを組み合わせることは、リアルオプションを経営実務に用いるためにきわめて有用なアプローチの1つであろう。
もちろん、これを具体的に機能するフレームワークにするためには、BSCの定性的評価部分と定量的評価部分をどのように組み合わせるかなど、多くの課題が存在する。これはそもそもBSCそのものに内在する課題でもあるが、リアルオプションという定量的評価手法と組み合わせる際には、最終的に実際の評価額が得られることから、いっそう周到な分析が必要であろう。今後の研究の進展に期待したい。
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